ドブロブニク バスの旅

・・・ヨーロッパの秘境?と言ったら、現地の方々に怒られそうですが、
5年前、モンテネグロという国で暫く生活していました。
旧ユーゴスラビア連邦の一郭、アドリア海に面した小さな国です。
つい最近まで、我が日本と交戦状態!?
100年以上前の日露戦争でロシア側に付いたものの、
終結講和を忘れていた様子・・・のどかな、のんびりした皆様が住む国です。
以下はその当時、余り馴染みのない国から、日本の友人へ宛てたメールです・・・

<2010年7月21日 作成>
ご諸兄各位殿


後述レストランのおねえさん。
写りが悪いのは小生の腕前。
御免!

  

二週間の夏休みがあれよあよという間に休出に削られ、
「休みのうちで遠出できるのは今日しかない」ということで、
先週の木曜日に日帰りで隣国クロアチアのドブロブニクへ行ってきました。

単独での国際路線バス、強行突破旅行です。

長い文章なので、時間があって退屈なときにでも読んでください。
今住んでいるモンテネグロはチバット市のバス停(屋根付の立派なバス停)、
8:00出発予定が待つこと20分、ようやく長距離国際路線バスが来ました。
ポド・ゴリチアというモンテの首都から、ドブロブニクまで行くバスです。
ま、のんびりしたお国柄、20分の遅れはご愛敬でしょうか?
料金は往復で20ユーロ、約2千円。
この金額と地図上の距離からすると、
名古屋駅から多治見まで高速バスで行くようなものです。
最初はそのくらいに思っていました・・・
乗り込んでから思っていた方向と反対へバスは進みます・・・
どうもコトールに寄るようです・・・とするとコトール湾を一周する??

コトールの岩山
グーグルあたりで地図を見ながら読んでいただくと解りやすいのですが、
チバット市の外れにフェリー乗り場があり、
このフェリーを使えば10分でコトール湾の対岸まで行けるのです・・・
しかし湾を一周すると1時間以上はかかります。
そちらで例えるなら河和から伊良湖までフェリーで行かず、
延々と陸路で行くようなもの・・・これは長旅だ・・・
コトール湾に浮かぶ島の教会
隣の席は、あとの国境越えの検問でパスポートにて解ったのですが、
アメリカ人のおにいちゃん。仲間数人と旅行中の模様。
バスの中で英語の本をずっと読んでいました。
挨拶をした程度で寡黙な青年でしたが、
何とか言葉が通じそうな人が横でホッとしました。
斜め前の席には何の事やら腕に「竜水龍」と、
訳のわからない漢字の入れ墨をした現地のトッポいおにいちゃん。
バスは満員、寡黙なアメリカ人の友人が、
唯一その隣の空いてる席に座らせて、と頼むまで席を譲らない横着者・・・
あとでこの横着入れ墨お兄ちゃん、えらい目に遭います。
バスはコトール湾沿いをゆっくりと進みます。
湾は波もなく鏡のよう、道の反対は急峻で一気に1000mを超える断崖絶壁。
まこと風光明媚・・・ただエアコンの効きがものすごく悪い、暑い・・・
ペラストの町
出発してから2時間でモンテとクロアチアの国境越え。
峠のてっぺん、人家も何もないところ・・・まずはモンテの検問。
長距離バスが多く検問前に渋滞、時間がかかります。
でもその際はバスから降りられリフレッシュ、タバコがうまい!
パスポートを見せることなく(いい加減な国です、ほんと。)、
30分ほどで検問を終え出発、数百メートル行くと今度はクロアチアの検問所。
ここが大変でした・・・
まず係官がバスに乗り込みパスポートを全員から回収(不安・・・)。
待つこと30分。
この間、炎天下で満員のバス車内は温度が上昇・・・
降りることも許されず汗だくです。
係官が全員のパスポートの束をを車内にもってきましたが、
「各位で自分のパスポートをとるように」
・・・と言ったと思う、だってセルビア語は解らないモン。
パスポートは乗客同士で手渡し・・・
!!無くなったらどうするの!?と焦っていたら、
さっきの入れ墨横着兄ちゃんのみ係官に強制的にバスから降ろされ、
係官の指示でバスは強制発車・・・
ひょっとして犯罪履歴者?あのお兄ちゃんの運命は・・・??
自分のパスポートが束の中にあって、とりあえずは良かったが。。。
こんな国境越えは初めてです。
ドブロの空港の脇を超えてドブロブニクまであとわずか。

ようやく着いたドブロブニクの町
ここまで約3.5時間。
車内の温度はなかなか下がらず、汗だくのどろどろ・・・
ドブロ到着間際で気を失って(眠って)しまいました。
ドブロブニクの港
出発から4時間でようやく到着。
これじゃ多治見じゃなくて諏訪湖まで行けちゃう時間です・・・
到着後、両替をしたら今度は市バスに乗り換え。
ドブロの旧市街、ピレー門へ。
ピレー門の脇の屋外レストランで昼食。
店員にドブロの名物料理は?
と聞いたら" ムッセルズ・ブザーラ” と言われました。
何のことやら??まあものは試し、これで行っちゃえ、と思い注文。
出てきたのはムール貝のトマトソース煮でした・・・おいしかったです。
昼食後には世界遺産の旧市街に、イザ突撃!
ピレー門
町全体が城壁に囲まれ、モンテのコトールと似てはいますが規模がデカい!
中世の石造りの町並み・・・ただただ暑かった・・・
城壁の中から背後の山を見る
城壁の中の目抜き通り
路地裏はどこでもレストラン
ピーカン!暑い暑い。。。
暑さでネコもぐったり。。。
正直、40の坂を下るこの体には暑さが厳しくダウン・・・日射病直前!
・・・城壁の陰のベンチで水を飲んで猫と1時間ほど座り込んでいました。
調子が戻った後、旧市街をザックリと見たらもう夕方。
帰りのバスは19:00発車、今度は始発で時間通り。
それまでに市バスで国際バス乗り場まで帰らなくては。
レストランで早めの夕食、今度はマスのオリーブ油炒めを食べました。
ウエイトレスさんがあまりに綺麗だったので、拝み倒して写真を頂戴!!
(最初の写真です!)

市バスに乗ってしばらくすると停留所でおばさんが降口から乗車。
・・・・運転手と一悶着。
こっちの人、ほんとメチャクチャ・・・と思っていたら、
何とこの停留所が国際バス乗り場!!
疲れていたのでしょう・・・乗り過ごしです。市バスは発車してしまい・・・
「まあ、次のバス停で降りて歩くか、大した距離じゃ無いだろう。
19時まで30分ほど時間はあるし・・・」
と思っていたら、次のバス停までが遠いこと、遠いこと・・・
30分じゃ歩けない距離!
とにかく次のバス停で降り、戻りのバス停でバス待ちしている、
これまた綺麗なおねえさんに聞いたら、5分後にくるよ、とのこと・・・
助かりました。
国際バス乗り場で行きと同じバスが待機していました。
トイレ(3クローネ、約60円とられました。)をすませてタバコを吸って乗車。
時間通りの出発です。
バスの車窓から夕方のドブロブニク
帰りは満員ではなく半分ほど。
周囲はこれまたアメリカ人(I love NY のTシャツ)と思われるカップル2組。
後ろは英語を携帯で話すご婦人連中・・・
現地の人もいますが半数は外人さんです。
でも東洋人はやはり自分のみ・・・こころ細・・・
さあ鬼門、クロアチアの検問所です。
パスポートが回収され検問開始・・・と思いきや、いつまでたっても始まらない。
知ってか知らずか係官はおしゃべりばかり。
夕方だけど車内温度はまた上昇・・・
汗だくです、グダグダです・・・他の乗客も皆うんざり・・・
どうもバスのナンバープレートがモンテのものなので、
「嫌がらせ」をしているようです。
20年前の内戦でモンテとセルビアはドブロを攻撃、
ドブロの旧総督邸には当時の破壊された町の写真が飾ってありました。
市民レベルでは大きな「わだかまり」はもう無いそうですが、
政府レベルでは未だにあるようです。
その「とばっちり」がこれ・・・待つこと1時間!ようやく発車。。。
例のごとくパスポートは乗客同士の手渡し・・・
でも、これまたまた!綺麗なおねえさんがにっこり笑って、
小生のパスポートのみを手渡ししてくれるじゃありませんか・・・
ひょっとして、こちらでは結構受けるタイプなのかな?俺って!?
モンテに入り最初のバス停、ここで運転手が行き先ボードを急に変更??
バスはコトールに寄らず(フェリーを使うようです。ラッキー!)、
コトール行きの乗客は隣のバスへ。
また終着もポド・ゴリチアから、
それよりもっと先のセルビアのベオグラードに変更!?
日本じゃ考えられないですが、
こちらでは乗り物の行き先が急に変わることはよくあることです。
数年前に来たときは離陸した飛行機の行き先が急に変更になった・・・
という経験があります・・・ほんと、いい加減な国。
 
夕日が沈むチバット湾

30分ほどでフェリー乗り場に到着。
フェリーといっても小さな「ぽんぽん船」、伊良湖のフェリーとは大違いです。
フェリーに乗って一路チバットへ。
・・・ただフェリーが対岸に到着する前に恐ろしいことが起きました・・・。
到着間際でフェリーが減速したらバスが惰性で2mほど急に後退!!
バスの運転手、サイドブレーキをかけ忘れている!!!!
運ちゃん、あわててフットブレーキ!!
一瞬、フェリーからバスが海に落ちるのでは・・・と背筋が寒くなりました。
コトール湾はフィヨルドで水深がとても深く、車ごと落ちたら最期です・・・。
見も心もボロボロになってチバット到着、夜の9:30。
フェリーのおかげで帰りは2.5時間と早かったです、怖かったですが。。。
不思議の国での生活、本日もまた色々なことが解りました。
皆様のお越しをあまり期待しないで待っています!!
・・・でも良いところですよ、ここ、モンテネグロ!
命さえ残れば・・・ではまた・・・次の冒険で!!

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